【CD】ハイドン「5度」&ベートーヴェン弦楽四重奏曲第3番/クァルテット・インテグラ

 クァルテット・インテグラの第4弾のディスクが早くもお目見えした。絶妙なバランス感は相変わらず無双。旋律とリズムの対比、色彩的なハーモニー、細やかなフレージング…それらが合わさって生まれるしなやかさは、4人のアンサンブルを動かす超越的な意思の存在すら感じさせる。ヴィブラートは薄目なのに音色がしっとりと溶けあい、メロディラインやオブリガートが美しく際立つ。音楽作りにも深みが感じられ、ハイドンのメヌエットやどっしりと落ち着いて構成したベートーヴェンにはベテランの風格すら漂う。チェロのパク・イェウンも初共演から1年を経て十分に馴染んできたようだ。
文:江藤光紀
(ぶらあぼ2025年6月号より)

【information】
CD『ハイドン「5度」&ベートーヴェン弦楽四重奏曲第3番/クァルテット・インテグラ』

ハイドン:弦楽四重奏曲第61番「5度」/ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第3番

クァルテット・インテグラ
【三澤響果 菊野凜太郎(以上ヴァイオリン) 山本一輝(ヴィオラ) パク・イェウン(チェロ)】

ナミ・レコード
WWCC-8030 ¥3300(税込)